【2001年11月29日】
昨晩TBS系列で放映された「筑紫哲也News23」の特殊法人特集で、本HPで批判の対象としている国際観光振興会(JNTO)が取り上げられた。
番組では私が勤務していた同会香港事務所の画から始まって、現地旅行会社社長、出版社、訪日旅行者、独自の観光誘致を行っている登別観光協会関係者らの生の声を通じて、同会が行う実際の業務がマーケットのニーズと噛み合っていない点を浮き彫りにしていた。
同番組を偶然にでもご覧になった方のために一言記しておくと、インタビューに登場した香港旅行会社社長は、2名とも最もJNTOの面子を立ててくれた人物であり、かなり遠慮がちなニュアンスでJNTOを批評していた。
私自身も「元職員」の肩書きで覆面出演したが、編集の関係があるとは� �え、最も肝心なポイントとなる発言が殆ど削除されていたのは遺憾だ。
今回の放映は、本来は2週間連続の特殊法人特集の一環として企画されていたものであり、取材に協力したのも、まず自身が内部関係者のトップバッターとしてマスコミに登場することで、他の特殊法人関係者の発言を促したかったためである。結果的には米国同時多発テロの関係で一気に企画が縮小し、単発モノとなってしまった。
従って、筑紫氏自身の口からも「この番組をご覧の特殊法人関係者の皆さんの意見や情報を寄せてほしい。」というメッセージを発するよう、担当記者に何度も提案したのだが、結局実現しなくて大変残念である。それでも局にはメールが徐々に届いているそうなので、今回の放映が関係者の行動を少しでも促すものであ� �たと期待したい。
それにしても情けないのは、JNTO東京本部がTBSの取材を拒否した点である。広報責任者は、最近私に対し、「当会の業務は大きく改善されており、他の法人と一緒にされたくない。」と語っていた。その一方で、国土交通省の幹部も取材を嗅ぎ付けて何やら裏で動き回っていたようだが、自分たちの業務に十分な自信と誇りがあるならば、堂々と対応すれば良い。
私はいつでも受けて立ちますよ。
【2001年11月27日】
焦点の特殊法人改革は、22日以降急展開を見せ、住宅金融公庫、都市基盤整備公団等、7法人の廃止・民営化を先行させる形で第一ラウンドにとりあえず決着をつけることとなった。
個人的にはややヨミが外れたが、この裏舞台は既に一部マスコミでも報じられているとおり、自民党抵抗勢力が、高速道路建設債務の償還期限延長と第二次補正予算の編成という二つの実と引き換えに、特殊法人の「廃止・民営化」方針を一応は了承する形で小泉首相の面子を立てることで当面の妥協を図ったものであることは間違いない。自民党お得意の党利党略を優先したということだ。
無論、抵抗勢力がこれで完全に矛を収めるはずもないし、何よりも官僚連中がこのまま引き下がることは120%ありえな� �。彼らは今後提出される整理合理化計画や改革法案の文言に巧みな作為を加えることで、実質的な骨抜きを狙ってくるであろう。
現に、「廃止」の筈の石油公団、都市基盤整備公団、住宅金融公庫の3法人については、いずれも一部の事業について新たな受け皿組織の設立が目論まれており、単なる看板の付け替えに終わる可能性が高い。中でも、表向きは「5年以内に廃止」となっている住宅金融公庫の融資業務廃止には「民間金融機関がちゃんと代わりに融資するかどうか見届けてから決定する。」という留保条件がついている。従って、5年後に「まだまだ民間金融機関の住宅ローン融資は不十分だ。」と誰かが言い出せば、ずるずると融資を継続することになることは確実で、これは骨抜き以外の何物でもない。
ここ� �で書いているうちに、昔流行ったさだまさしの「関白宣言」の歌詞(俺は浮気はしない→多分しないと思う→しないんじゃないかな。→まあちょっと覚悟はしておけ。)がふと頭をよぎった。
中国に最恵国貿易のステータスは何ですか?
【2001年11月20日】
小泉首相はここ数日、道路4公団の分割・民営化や都市基盤整備公団、住宅金融公庫の廃止を相次いで言明する等、ここにきて予想外のボルテージの高さを示している。
アフガン情勢が落ち着きだしたことや、補正予算が通過したこともあるとは思うが、恐らく解散権を最後のカードに抵抗勢力に対して乾坤一擲の勝負をかけてきたと考えられる。
月内に首相の意に沿った改革案をまとめるということは、行革断行評議会の猪瀬直樹氏らが既に最終作業を行っているものと推察されるが、小泉首相の目論見どおり、これを自民党案として承認させられるとは到底思えない。
仮に解散総選挙に打ったとしても、もし自民党が勝てば抵抗勢力がそのまま生き残るだけだし、負ければ負けたで小泉総裁が引きずりおろされるだけだから、どのみち結果は変わらない。
こんなことをしているうちに、小泉首相が佐郷屋留雄に狙撃された浜口雄幸� �相の二の舞にならないことを祈るばかりである。(小泉氏もその時は「男子の本懐だ。」とか言いそうだが。)
ところで、完全に蚊帳の外の人となった石原行革担当大臣であるが、「自分は調整役だから。」と語っているそうな。小泉首相は調整役でなく旗振り役を彼に期待していたはずである。自分の使命を始めから理解していなかった訳である。いや、単に逃避しただけか。
【2001年11月8日】
特殊法人改革は一向に具体的な前進を見出せないばかりか、もはや権力闘争の具と化してきた。
現在、特殊法人改革に関係する機関としては、小泉首相を本部長に内閣府に事務局を置く「特殊法人等改革推進本部」以外にも、石原行革担当大臣の私的諮問機関で猪瀬直樹氏が主導する「行革断行評議会」、自民党内には「自民党行政改革推進本部」等があり、主導権争いに凌ぎを削っているところであるが、ここにきて今度は自民党内の抵抗勢力から与党3党の幹事長らで構成する「政府・与党行革協議会(仮称)」の設置が提案されたという。
「自民党行政改革推進本部」に屋上屋を架す斯様な機関の設置には、自民党のみならず与党3党を主体とすることで、小泉� ��相に対する圧力を強めると同時に、最近メディアへの露出度が高く、特に道路族等にとって目の上の瘤である「行革断行評議会」の相対的発言力を低下させる狙いがあると思われるが、同時に責任の所在を曖昧にする、という副次的作用をももたらす結果となるであろう。
協議会や委員会を乱立させたあげく結局何も纏まらない、というのは何も政治や官僚の世界に限った話ではない、いかにも「社会主義国・日本」的な姿である。同時に、内閣よりも党の力のほうが強いという実態は北朝鮮と同列である。
【2001年11月 2日】
石原行革担当大臣の資質や実力については8月段階から既に本頁で疑義を呈してきたところであるが、これを決定付ける苦言が小泉首相の口から出ているので掲載しておきたい。
「お前は子供の使いかよ、使えねー奴。」といわんばかりである。
「(石原行革担当について)もう少し各方面の意見を聞いて、何でも私の指示を仰ぐのではなく、少しでも改革案を練って集約して示してくれ。私に選択の判断を与えるようなもっと具体案を考えてほしい。」(2001年11月2日日経より抜粋)
【2001年10月 6日】
石原行革担当大臣は5日、特殊法人改革推進本部に対して、特殊法人及び認可法人に関する組織見直しにかかる事務局案を提出した。
これによれば、民営化もしくは廃止とされたのは既に決定済の帝都高速度交通営団(営団地下鉄)と基盤技術研究促進センター(認可法人)の2法人にとどまり、「廃止の方向で検討」が17法人、「民営化の方向で検討」が15法人等となり、54法人については「引き続き整理合理化について検討」に区分けされ、事実上の見送りとなった。
新聞では34法人が廃止・民営化、54法人が見送りという表現をしているが、よく見ればこの
34法人のうちの32法人は廃止もしくは民営化の方向で「検討」と表現されているに過ぎず、廃止・民営化を決定した訳ではない。「� �討」という表現は霞ヶ関ではイコール「最終的には何もしない(もしくはできない)」というオチを想定したものであり、今後の最終決定までの間に骨抜きにされることは必至である。実質的にはこの段階で「2法人は廃止・民営化、86法人先送り」というオチが最終決定したといって良い。これぞ「大山鳴動して鼠1匹」という表現がまさにぴったりではないか。やはり8月10日で全ては終わっていたのである。
マイルの失効したライセンスは、私はカリフォルニア州のライセンスを取得することができます
【2001年9月 26日】
自民党行革推進本部は25日、特殊法人改革に関して各政調部会よりヒアリングを行った。
各部会とも、特殊法人の廃止・民営化は困難とする「ゼロ回答」を突きつけ、小泉総裁と真っ向から対峙する形となった。各部会には関係省庁の幹部官僚も同席したようだ。
これで自民党全体が省庁とスクラムを組む抵抗勢力であることが改めて証明された訳だが、現時点で自民党内が完全にアンチ改革で纏まっているとなれば、もはや小泉首相や石原行革担当大臣がいくらじたばたしても大勢は変わらないであろう。
マスコミや国民の目が米国同時テロに向いているうちに、抵抗勢力はどんどんつけあがるばかりである。前から主張しているとおり、最大の犯罪者は目先のニュースばかりにとらわれて横� �びの報道に甘んじ、真摯に特殊法人問題と対峙しないマスコミである。日頃から政治よりも政局や目先の事件事故ばかり追っているからこのざまだ。(特にテレビはひどい。)
12月には雅子妃のご出産も予定されている。今年の残り3ヶ月はテロ問題と雅子妃ご出産の祝賀ムードのうちに終わり、またも特殊法人改革はうやむやのまま先送りされるのであろう。
年明けの通常国会で「ともかく私は有力法人の民営化の道筋はつけた。」と開き直る小泉首相の強弁が聞こえてくるようだ。
しかし、新聞の小さな囲み記事によれば、国の借金は今年6月末時点で前年同月比10.9%増の557兆円と過去最高に達した、とある。
真実はやはり常に水面下で進行するものだということを改めて感じずにはいられない。
【2001年9月 22日】
国土交通省は21日、日本道路公団をはじめとする所管6法人の民営化案を提出した。
日本道路公団の現行整備計画の凍結は盛り込まれず、首都高速道路公団との統合を打ち出すにとどまり、住宅金融公庫や都市基盤整備公団とともに「10年後目処に民営化」等、またも「先送り案」に終わった。扇国土交通大臣が道路4公団の民営化について「早くて20年後」と
言っていたのが10年に短縮されたに過ぎない。
しかし10年前といえばまだバブルの真っ最中。10年後には社会も現在から大きく変化しているであろう。現在の閣僚も官僚も全て入れ替わっているはずである。
結局は小泉首相が政権にいる間の一時凌ぎ的な「方便」に過ぎない事がいよいよ明確となった。やはりこの国に改革を求めるのは無 理である。
【2001年9月16日】
米国同時多発テロのどさくさで特殊法人問題はすっかり影が薄い。
原油価格の上昇が起きれば国家備蓄が大事だとばかりに石油公団復活論まで出かねない。
元関係者からの情報では、民主党の鳩山党首も「特殊法人どころではない」と発言したらしい。しめしめというのが省庁のホンネであろう。
日経平均1万円割れも意外な方向から引き金が引かれたことで、誰も責任をとらなくて良くなった。さらに原油価格の上昇でデフレ解消、という皮肉な結果にすらなりかねない。
ある問題がそれを上回る大問題への対応によって放置され、そのツケが増幅されて将来にやってくるのが宿命とはいえ、特殊法人問題がこのまま忘れられてしまうようではこの国も本当におしまいだ。
イスラム原理主義者12名が日本にも入国していたらしい。いっそ永田町と霞ヶ関を爆破してくれないだろうか。
【2001年9月 3日】
小泉首相は3日、日本道路公団、石油公団等の廃止・民営化法案を来年1月召集の通常国会に提出する方針を明らかにした。まずはいわゆる大所から「死刑台」に送ろうという目論見である。
通常国会への法案提出を明言した以上、もはやあとには引けなくなった。同法案の通過如何が小泉首相の政治生命を左右することになるであろう。
【2001年9月 1日】
小泉首相は31日、石原行革担当大臣、行革断行評議会の猪瀬直樹氏らとの会談において、改革に抵抗する特殊法人トップは担当閣僚の人事権に基づき解任すべしとの考えを示した。
各法人とも、そのトップ(総裁、理事長、会長等)の任免権は、法の規定に基づき所管省庁の大臣が有することになっている。もちろん、トップは全て事務次官ないし局長、審議官で退官した天下り官僚である。
今回の首相発言が本気かはったりかは何ともいえないが、官僚がもっとも恐れる人事権という伝家の宝刀に手をかけたことで、多少のお灸効果程度はあるかもしれない。
【2001年8月29日】
小泉首相は28日、扇国土交通大臣に対し、道路4公団(日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本州四国連絡橋公団)と住宅金融公庫、都市基盤整備公団の民営化に向けた具体案を早急にまとめるよう指示した。
これにより、先に首相自身が廃止を明言した石油公団、片山総務大臣が廃止を明言した簡易保険福祉事業団をあわせると、77特殊法人のうちの大所に対してはほぼ廃止・民営化の網がかぶせられたことになる。
社長として担当しているフランクリン·ルーズベルトの長であった
他方、石原行革担当大臣の私的諮問機関である行革断行評議会(猪瀬直樹座長)も同日住宅金融公庫の廃止案を独自にまとめた。
新規融資の停止以外にも、同公庫が有する既存の住宅ローン債権の直接売却により、同公庫業務の「完全廃止」を唱えており、行革推進事務局が去る10日に公表した改革案よりも踏み込んだ内容となっている。
これらの動きからは、9月3日に各省庁から提出予定の組織見直し案の内容を想定し、石原行革担当大臣及び行革推進事務局の事務レベルを飛び越えて、小泉─猪瀬コンビによって新たな正面突破を図ろうとする目論見が窺える。
【2001年8月25日】
各省庁からの特殊法人組織見直し案の提出は、当初予定より繰り上がり、9月3日となった。ここでは小泉首相の意向を受けて「廃止か民営化」を前提とした見直し案が求められており、これらができない場合はその理由を示すこととなっている。
しかし、恐らく省庁からの回答は先に公表された事業見直し案と同様、またも公共性等の抽象的概念を盾に「廃止民営化は困難」という木で鼻をくくった内容に終わるであろう。
8月10日に指摘したとおり、事業見直しを組織見直しに分離先行して論じたことにそもそも論理的破綻があるわけで、案の定、省庁サイドからは「事業の話をしていたのに何で突然組織の廃止、民営化なんだ。」(2001年8月25日日本経済新聞)という反発が出ているという。もっともな反論であり、彼らに今回の特殊法人改革の綻びを突く口実を与えてしまうことになった。廃止・民営化が最終目標であれば、それらを前提とした上での今後の個別事業スキームを立案せよ、と始めから各省庁に命じるべきであったのだ。
また、今回の特殊法人改革の実質的責任者である石原伸晃行革担当大臣は、弁舌鋭い政策新人類といわれるが、その政治スタイルはリーダーシップ型ではなく、調整型のようだ。日経記事によれば、小泉首相は石原大臣の頭越しに行革断行評議会(石原大臣の私的諮問機関)の猪瀬直樹氏を官邸に呼び、組織論につき意見交換したようである。
これは小泉首相が石原氏の手法に満足していないことを示していると言って良いであろう。とはいえ、政府内には他に小泉首相が頼れる人物もおらず、同首相は実質的に四面楚歌状態の中で旗振りをしているに等しい。
斯様な状況下では、もはや世論の盛り上がりと内部告発以外に特殊法人改革の推進力は見出せない。今回外務省の在外公館における公金流用が次々と明るみになっているが、これらはいずれも内部告発から露呈したものである。
特殊法人もその問題点を内部告発する声があがらない限り、結局国民には何がなんだかわからぬままに改革の幕引きがされてしまうのではないかと懸念される。
【2001年8月10日】
政府の行政改革推進事務局による「特殊法人等の事業見直し案」が10日公表された。私は某所で公表前のペーパー(厚さ1cm以上)を目にする機会があったが、あまりの中身のなさに、怒りを通り越して、もはや馬鹿馬鹿しくなってしまった。
始めは事務局案を所管省庁の意見と見間違えたほどであり、この程度の弱腰な事務局案と小泉首相の「原則廃止・民営化」という大命題がどうつながるのか頭を捻らざるを得ない。(今回の見直し案はどう読んでも存続を前提とした中身であり、ここから廃止・民営化を誘導するとすれば大いなる論理的破綻であろう。多少なりとも方向付けが見えるのは既に大臣が廃止を明言した簡易保険福祉事業団くらいである。)
対比公開された「省庁意見」は、100%予想したとおり何もやる気はございません、という木で鼻をくくったような回答を役人語で述べているに過ぎない。
事務局サイドは今回の事業見直し案を踏まえて今後組織の見直しを行うと言っているが、そもそも今回の事業見直し案と9月にまとめる予定の組織見直し案を分離して論じること自体が不自然であり、仮に廃止・民営化が最終目標であれば、それらを前提とした上での今後の個別事業スキームを立案せよ、と各省庁に命じるのが筋であろう。
結局事務局も役人、所管省庁も役人、要は役人同士の茶番劇だ。いわば自民党が自民党の閣僚に国会質問をしているに等しい。別の見方をすれば、既に沈み行くタイタニックの中で痴話喧嘩しているようなものである。
所詮改革当事者が誰も職場の現場検証をしないから斯様な机上の作文で終わるのである。
新聞もどうすれば「廃止・民営化へ改革推進」などという見出しが出せるのか。
ともあれ、特殊法人改革は既に破綻したといって良いであろう。もはやこのような国に生まれてしまった事を恥じるしかなさそうである。
【2001年8月2日】
1日、各省庁は先月27日に行革推進事務局が提示した特殊法人の事業別見直し案に対する意見書を同事務局に提出した。
事業の縮小や民間移管を軸とする事務局案に対し、予想とおり、大半の意見書が「公益」を錦の御旗に事業の温存、すなわち現状維持を主張したものとなっており、31日に小泉首相が石原行革担当大臣に指示した来年度補助金予算総額一兆円の削減については、実質的にゼロ回答となっている。
このような現状維持のための「作文」は役人の最も得意とするところであり、回答内容自体はなんら不思議ではない。例えば採算性が問題となっている事業に関しても、例えば日本道路公団の新規道路建設計画について、「採算性をチェックしながら着実に整備する。」と回答しているが、役人の世界ではこれは「何も改革しない」といっているに等しい。また、事業の公益性や国民の利便性を楯に、事業の民間移管を拒否している。
行革推進事務局は、今月10日に省庁意見を併記した事業別見直し案を公表する。同日に決定する概算要求基準(いわゆるシーリング)と同日に公表することで見直し案を概算要求に直接反映させる狙いがある。
9〜10月には特殊法人の組織自体の存廃方針を示す「特殊法人等整理合理化計画」の策定が、年度内にはその実施計画が策定される予定となっている。
石原行革担当大臣は、先の参議院選挙の勝利を梃に、省庁の支持に廻る「抵抗勢力」議員が本格胎動する前に一気呵成に事を進めたい、と述べているが、各省庁は既に1兆円削減案に対応する概算要求案を準備しており、彼らの視点は「秋の陣」に向いているはずだ。
少なくともこの段階で「原則として廃止もしくは民営化が前提」という小泉首相の基本路線が後退することがあってはならない。
【2001年7月31日】
日本経済新聞朝刊記事によると、片山総務大臣は、総務省(旧郵政省)監督下の簡易保険福祉事業団の2003年廃止を正式表明した。但し、同事業団の主要事業である「かんぽの宿」の運営業務や、郵貯・簡保の資金運用は、同年に設立される郵政公社が引き継ぐ、としている。
【2001年7月 6日】
小泉首相は、自民党の堀内総務会長との会談で、石油公団の廃止を明言した。個別法人名を挙げて廃止を明言したのは初めてである。これを受けて政府・自民党は具体的な解散手続きに着手する。小泉首相は関係者に対し、役所の抵抗を押し切ってでも廃止すべしとの強い決意を露にしたようだ。
規模的には特殊法人の中でも5本の指に数えられる石油公団の廃止を決定づけることによって、特殊法人改革に弾みをつけたいという首相の思惑が窺える。
また、石油公団は堀内氏が通産大臣の時にもさかんに問題にしており、大臣降板後も文芸春秋に同公団に対する批判論文を寄稿していた。いわば堀内氏の執念(怨念?)と小泉首相の意欲がマッチしての結果という事になろう。
「月刊現代」8月号によれば、� ��に各省庁は石原行革担当大臣等関係者の所へ「ご説明」と称した洗脳工作に出向いているらしい。同大臣は参議院選挙後の9月頃にその動きが最も活発になると警戒しているようだ。
作文能力に長けた官僚の洗脳工作は予想以上に手強い。関係者は強い意志でこれを跳ね返していただきたい。そしてマスコミも官僚によって作文された机上の「必要論」を覆すべく、各法人の実態を自身の目で取材し、公開していただきたい。
【2001年6月27日】
財務省の諮問機関である財政制度等審議会の試算によると、郵便貯金等を原資とする財政投融資の対象である特殊・認可法人計33機関に対する将来の税金投入額は向こう80年で11兆2千6百50億円になるとのことである。投入必要額では、日本道路公団、石油公団、緑資源公団、都市基 盤整備公団、国際協力銀行が上位5位となっている。
ただ、80年後といわれても、物価や金利の変動を考えるとあまり意味のある分析とは思えないが。(特殊法人の歴史は精々40年である。)
【2001年6月23日】
政府の特殊法人等改革推進本部は、157の特殊・認可法人の見直し対象及び基準の中間報告を発表した。業務類型別に問題点を洗い出し、存在意義も含めたゼロベースからの見直しを目指す。8月中に見直しの方向を確定させ、その合理化成果(財政支出1兆円減)を来年度予算編成にも反映させるとしている。
小泉内閣の目玉である特殊法人改革はスタートラインに立ったといえよう。だが、ここまでは過去数次の行財政改革でも到達している。問題は今後予想される自民党内対抗勢力や監督省庁サイドからの抵抗をどう乗り切るかである。
特に監督官庁は過去数度の行政改革の嵐に何度も全組織を挙げて抗してきた「実績」を持つ。正式なヒアリングの場 では無論のこと、裏で自民党内有力者を利用したり、行革関係者に個別接触を図って「必要論」で洗脳するなど、ありとあらゆる抵抗を行って改革を骨抜きにしてきた。改革推進本部の関係者は彼らの作文する「必要論」に揺らぐことがあってはならない。
今回は役人の作文に対抗するためにも、特殊法人実地調査チームを編成して、各法人の現場を実際にこの目でチェックするという作業も必要ではないだろうか。百聞は一見に如かずである。
また、1991年の第3次行政改革の際には、4つの特殊法人の廃止がほぼ決定した時期に、当時の橋本龍太郎氏が「自民党に対する仁義を切らずに議論を進めたのはけしからん。」という理由で、全てを反故にさせた過去を持つ。自民党内の対抗勢力という内なる敵にも断固とした姿勢で� ��む事ができるかどうかが成果を左右する最大のポイントである。
【2001年6月19日】
日本経済新聞夕刊記事によれば、政府は、財務省の諮問機関である財政制度等審議会の公企業会計小委員会の報告を受け、本年9月をメドに、特殊法人に対して資産の時価評価や連結決算の導入、引当金の適正額計上等、民間企業並の会計原則に沿った財務諸表の作成とともに、政府出資や無利子融資、国有財産の無償使用等による隠れた国民負担の実態を明示する「行政コスト計算書」の作成を求めることとした。
特殊法人の経営実態を経理面から開示し、今後の特殊法人改廃の判断材料にするのが目的である。
【2001年5月30日】
公務員人事制度改革案の概要によれば、国家公務員の給与体系を、従来の年功� �列から、年俸制も含めた能力給制度に移行し、信賞必罰を徹底するとのことである。
課長以下の職員については、過去半年ないし1年の能力・業績を評価し、これにより能力給と業績給を決定、成果をあげられなかった場合は減給もあるとしている。
一見すると、公務員にもようやく民間並の人事評価が導入されるかに見える。
しかし、営利が目的の民間企業の場合は、営業成績や研究開発成果等によって業績を明確に測定できるが、公務員の場合は何をもって「業績」と見るかが大きな問題である。
いままでの公務員の内部評価は、どれだけ予算を増やし、法律を制定して許認可権限を拡大し、或いは新規天下り先を拡大するか、すなわち省益の拡大に貢献した者が「優秀� ��」職員というのが不文律となっている。
従って、このまま人事評価を導入すると、ますます省益の拡大に走ろうとする官僚が増え、却って国益に反する結果となることが懸念される。
ゆえに、国家公務員の横断的雇用を行うとともに、業績評価の基準には予算の節約、規制緩和への貢献等が加わらなければならない。少なくともその評価基準は何らかの形で公開されるべきであろう。
【2001年5月28日】
日本経済新聞夕刊記事によれば、香港証券取引所は、時価総額(計4兆6千4百2億HK$=73兆円)で既に取引規模としては上海、深セン(計5兆2千6百80億人民元=79兆円)に追い抜かれている。
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